自助・共助の実践知調査と防災の伝え方に関する研究
2026.04.01
行政政策学類・教授 西田奈保子
実施期間:令和8年4月1日~令和9年2月28日
目的
災害行政とまちづくりを学ぶ学生が被災地における自助・共助の具体的事例を調査し、若者が防災を自分事として理解し、行動につなげるための「伝え方」を検討することを目的としています。
連携先である福島県危機管理部との協議では、県事業がこれまでリーチできなかった「若年層」に自助・共助の意識向上と行動変容を促すことが課題として示されました。県事業にとってはこの間の学生との協議自体が新たなアウトリーチの機会でもありました。しかし、「若年層」への効果的な伝え方がありうるのかについて根拠に基づいて考えるためには、その前提として、自助・共助がどのような実践であり、どのような条件のもとで成立し、またどのような場合に機能しにくいのかを学生自身が研究として学び、具体的事例にもとづいて理解する必要があります。
自助の防災行動については規定要因に関する研究の蓄積がありますが、共助、とりわけ若年層の共助を規定する要因はほとんど明らかにされていません。本プロジェクトは、量的調査では捉えにくい「共助が成立/不成立となる関係的・文脈的条件」を被災当事者や実践者の実践知から質的に解明しようとする点に独自性があります。
そこで本プロジェクトでは、県事業と連携しつつ、研究として取り組むために福島および石川の被災地において、地域住民、行政関係者、支援者、研究者等から直接話を聴き、自助・共助の好事例や課題事例とその成立/不成立の条件を整理します。特に被災当事者・実践者本人から話を聴くことを重視し、災害経験や地域防災の実践が若者にどのように伝わるのかを学生が体験的に学ぶ機会とします。
得られた知見は、学生の共同研究に活用するとともに、福島県危機管理部との意見交換や学内外での発信を通じて、今後の若者向けの防災学習や地域防災の実践に還元します。
計画内容
①事前学習・調査視点の設定
自助・共助・公助の政策言説を整理するとともに、先行研究の知見に基づいて共助行動に関わる要因を確認します。知識やリスク認知だけでなく、周囲の行動認識、人間関係、近隣との接点、参加しやすさ等に着目します。事例調査では、誰がどのような関係性のもとで、何を契機に行動し、何が成立を支え、何が阻害要因となったのかを確認するための調査視点を設定します。
②県内被災地等での聞き取り調査
福島県内の被災地や関係機関で聞き取りを行い、地域防災や自助・共助、防災の伝え方について学ぶとともに、能登調査に向けた準備を行います。
③能登半島地震被災地での事例調査・意見交換
能登半島地震被災地域を訪問し、避難や支援等の実践について関係者から話を聴きます。調整が可能な場合には現地大学等とも意見交換を行い、福島との比較を通じて、若者に伝わる防災のあり方を検討します。
④分析・成果発信
調査で得た知見をもとに、自助・共助の成立条件や若者に伝わりやすい要素を整理し、共同研究論文や福島県危機管理部との意見交換、防災イベントでの共有などに活用します。
期待される効果
① 自助・共助の好事例や課題事例を収集し、共助行動を支える関係性、契機、参加しやすさ、阻害要因などを明らかにします。 ② 被災当事者や実践者から直接話を聴くことを通じて、災害経験や地域防災の実践を若者に伝える際の要点を提示します。 ③ 学生が事前学習、聞き取り、現地調査、分析、成果発信に主体的に取り組むことで、地域課題を調査し、他者と協働して考え、社会に伝える力を育成します。 ④ 得られた知見を共同研究論文や福島県危機管理部との意見交換、防災イベントでの共有などに活用し、防災実務者や関係機関と共有可能な実践的知見としてまとめます。
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