浪江町における防災をテーマとした新たな住民コミュニティ形成の試み
地域未来デザインセンター 特任准教授 藤室 玲治
実施期間:2024年度~2026年度


目的
2011年3月発生の東日本大震災・原子力災害により全町避難を余儀なくされた浪江町では、2017年3月31日に帰還困難区域が一部解除され、帰還や移住が始まった。
その後、町内居住者は徐々に増加し、2024年5月末時点では2,226人、1,384世帯が浪江町内に居住している。居住人口が増加するとともに、浪江町では防災とコミュニティ組織の課題が明らかになってきている。
浪江町の行政区は震災前の構成員で現在も固定され、移住者が参加することができず、移住者が増えている浪江町では行政区のみでは有効に災害に対応できない。
また帰還者、避難者と移住者との交流の機会がなく、災害発生時の対応に不安がある。
そこで、浪江町の幾世橋地区(約400世帯が居住)において、従来の行政区をベースにしながら、移住者も対象とした新たな住民コミュニティである「幾世橋防災コミュニティ(仮)」の形成を目的とした取り組みを、帰還者・避難者と移住者の交流会や、大学生が参加しての防災まちあるき、ICT技術の活用等の複数の手法を活用しながら行うものである。
計画内容
○2024年度
幾世橋地区内で、住民交流会を3回程度、防災のための住民のグループ(班)形成と、班ごとの連絡体制形成のための集いを2回程度行い、年度内に幾世橋防災コミュニティの結成を目指す。
○2025年度
結成された幾世橋防災コミュニティにおいて、住民交流会の開催や、大学生による防災まちあるきや、ICT技術の活用等を図り、このコミュニティによる防災の取り組みを支援する。
○2026年度
昨年度に引き続き、幾世橋防災コミュニティの取り組みを支援しつつ、まちあるきの成果等をマップ等にまとめる。
また取り組み内容について、他の浜通り被災地への普及を目指して報告会等を行う。
期待される効果
他の浜通りの被災自治体においても、浪江町と同様に従来の行政区は移住者を包摂したコミュニティにはなっておらず、帰還者、避難者と移住者が新たなコミュニティを形成することが課題になっている。そのため、この取り組みの成果は、他の浜通りの被災自治体にとっても、モデルになる取り組みになる。
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