プロジェクト

いのちを守る防災減災プロジェクト

地域未来デザインセンター 特任准教授 藤室 玲治
人間発達文化学類 特任教授 天野 和彦

実施期間:2024年~2026年


災害が発生する前に備えておく意味での防災・減災については、さまざまな分野で進められおり、モノや避難手順等の意識は高まってきている。
しかし、災害による直接死に対する働きかけとは別に、発災後、避難所等の生活の中で失われていく命、「亡くならなくてもいい命」に対する働きかけが急務とされている。
「いのちを守るため」に必要な「考え方」や正解のない問題に対峙する考え方を普及させることも、防災・減災の一部として重要な部分である。
そのために必要な人材育成、啓蒙、場づくりが必要であるため、さすけなぶる研究会を軸とする3ヵ年のプロジェクトを実施している。

いのちを守る防災減災プロジェクト⑤.jpgいのちを守る防災減災プロジェクト④.jpgいのちを守る防災減災プロジェクト①.jpg

活動の目的

東日本大震災・ふくしまにおいて、岩手県や宮城県との比較の中で、震災関連死の多さがこれまで指摘されてきた。つまり、直接死より関連死が多いということであり、亡くならなくていい命がなくなったことを意味する。いのちを守る防災減災プロジェクトは、まさに亡くならなくていい命を守るためのいくつかの事業で構成されるプロジェクトである。また、今後予測されている巨大災害対策への教訓の発信でもある。プロジェクト事業内容であるが、本学で生まれ、すでに1万数千人を超える受講者がいる防災教育教材を効果的な事業展開の軸にし、人材育成や教材等のブラッシュアップをするとともに、さすけなぶる研究会の自走化により、地域住民の防災・減災の意識醸成やその普及活動の人材育成が継続的に行われる体制構築を目指す。
また、本学がこれまでの活動の知見を集約し新たに展開する事業として、子ども向け防災減災教材の研究開発の事業展開を図ることで本学の復興知の集積と発信をすることを目的とする。
なお、事業最終年度においては、本事業に関するシンポジウムをデザインセンターとさすけなぶる研究会等での共催の可能性も念頭においている。

期待される成果

東日本大震災・ふくしまにおける教訓や知見を人材育成という視点で、最大限活かしていこうとするのが本プロジェクトの最大の狙いである。新たに人材を育てるという視点でのさすけなぶるFT養成講座では年間20名のファシリテーター養成を見込んでいる。
また、これまでさすけなぶるなどの防災教育に取り組んできた養成してきた人材は70名弱いるため、それらを対象にしたフォローアップ研修も年間2回は実施しのべ80名の参加も得たい。併せて、養成された方々の活動できる場と機会の拡充も、県観光交流センターとの協議の上10%ほど増やしたい。
さらに、新たな被災地域やこれまでの被災地を対象に新規事例を発掘し、分析並びに問題文作成を行い、年間5事例は増やしたい。
同時にこれまでの教材等も見直し、東日本大震災当時から進んでいる状況なども勘案し、年間5事例ほどを精査していく。これまで対象として難しいとされてきた、小学校児童(4年生以上)向けの新たな教材を作成する。その教材の大まかなフレームを定めたい。これまで述べてきた事業と数値目標等を達成することで、福島県内はもとより全国にも被災地の取り組みとして発信できる。そのことにより、災害によって亡くならなくていい命を守る総合的な取り組みとして展開できる。さらにこれまで懸案事項であった風化防止にも寄与できる。
一覧へ戻る