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【令和6年度】100年先を見据えた、震災復興まちづくりの継承活動への参画

行政政策学類 教授 西田 奈保子
活動期間:2024年4月~2025年2月
震災後の地域社会について説明を受ける学生(2024年8月24日).jpg

活動目的

東日本大震災の津波で甚大な被害を受けたいわき市豊間地区は、13年間にわたり住民主体の復興まちづくりを実践してきた。
しかし、従来からの担い手層の高齢化と地域活動継承の課題、震災後に移り住んだ子育て世帯を中心とした新住民層とのコロナ禍での交流不足といった課題が現担い手層を中心に認識されている。
これらに加え、2022年に実施した調査票調査の結果等から、新住民層への震災経験の地域における継承に課題があると感じてきた。
豊間地区では、被災世帯の地区への帰還に向けた取り組みが住民主体で震災後実施され一定の効果をみたが、土地区画整理事業完成の所要期間等の影響下、限界がある中、2017年以降、今いる高齢者等を中心に地域で子育てを応援するまちづくり会活動(田んぼの学校等)を実践することで、子育て世帯等新住民への訴求をめざしてきた。
現在、建売住宅の増加等により地域の世帯数は震災前まで回復したが、前述の課題が発生している。
そこで、新住民のこども世代が地域の震災経験を後の世代に伝えることができる地域づくりをめざして、まちづくり会活動等に新たな工夫を加える取り組み方を地域とともに検討する。
また、学生と教員は、地域の実情から担い手層の原動力や実装化の課題を学ぶ。なお、2012年から継続して当該地域と関わり、連携体制を構築している。

活動内容

・前期:豊間地区の津波被災後の取組みや現状を事前学習、課題の把握
824日:学生の地区視察、隣組顔合わせ手伝い、語り部講話、聞き取り調査(実施場所 豊間集会所、豊間地区)
・後期:課題対応型の秋祭り内イベントについて提案内容の検討、イベントの企画運営書の作成等
115日:いわき市豊間地区で秋祭り内イベントの企画運営予行練習、イベント部会への運営引継ぎ説明(実施場所 とよま公園、豊間集会所)
・事務局会議への参加(月1回程度、実施場所 とよまサポートセンター)内容:事務局活動の引継ぎ方法の検討や行事内容・運営に関する意見交換

活動の成果

①津波被災地で実施された行政による各種復興事業や住民組織による取組みについて事前学習や地区の視察によって学生の理解が深まるとともに、語り部活動に熱心に取り組んでいる、学生と年齢層の近い住民や、長年地域の復興支援に取り組んできた住民の方々の話を聴くことによって、地域の実情を立体的に把握し、復興支援の動機付けや支援手法の工夫につながった。
②新旧住民の交流を促し、津波避難場所でもある高台の活用の観点から、秋祭り内で住民参加型のモルックを提案し、チーム募集方法の検討、フライヤー作成、運営練習等を住民と行い、イベント部会の住民の方々による運営や住民チームの参加、子ども等による熱心な応援が実現した。区の事後調査によれば、秋祭りにスタッフとして参加したいとの回答が153人(回収数の43.7%)に上った。役員の高齢化や引継ぎが課題になる中、新旧住民の交流の機会になる祭りの自主運営の機運が高まっており、その一助となった。

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